2005年 02月 18日
作家選び、器選び |
(写真・若手作家の注目株・中野和馬氏)
素敵な器を扱っていますね、そんな言葉をいただくと大変嬉しい気持ちになります。器の店にとって、一番要になる仕事が作家探しといっていいでしょう。いろいろと情報のアンテナを張り巡らし、全国各地を歩く作家探しの旅が続きます。
日常の器として多くの方に使っていただきたい。そのためには、「手ごろな価格」で「いい器」という難しい条件が伴います。物づくりのセンスが良くて、まださほど世に知られていない作家に出会ったときほど、心踊るときはありません。
個人作家としてまだ独立してない時からコンタクトをとり、初窯の作品をいただいて以来のお付き合いをしている作家もいます。まだ、ブレイクする前からお付き合いが始まった作家のかたが、すっかり人気作家になってしまい、価格的に取り扱いが難しくなっていく場合があるのも、地方ギャラリーならではの悲しい現実です。
今では常時100人前後の作家とお付き合いがありますから、そうそう作家を増やすこともできません。しかし、器ギャラリーとしての鮮度を保つていくには、新人作家を迎える必要もあり、やはり作家発掘への目配りは欠かせません。
作家選びは当然、器の良し悪しを通じてということになります。どんな視点で器選びをしているのかについて話してみましょう。もちろん、プロといえるだけの基礎的な技量を備えていることが作家には求められます。ヘタはいけません。しかし、ただ上手だというだけでは、それがどうしたとあしらいたく成ります。
なんといっても、個性的な魅力を放っている器とでも言いましょうか。しっとりとした佇まいに心奪われる器。素朴、健康的な姿に心洗われるような器。清楚、端正でさわやかな気分にさせてくれる器。優しさ、雄雄しさ、魅力のありようは多様ですが、人の心をうつ器であってほしいものです。
土味、造形、釉薬、それらを含めての総合的な意匠―器を構成する様々な美の要素を動員して、どんなイメージの器に昇華させるかが作家の美意識といえるでしょう。そこからうまれるオリジナリティー、その作家らしい世界がつくれているかを何よりも大事にしたいものです。
もうひとつ、私の好みを付け加えると、加飾に過ぎず品格のある器をどうやら求めているようです。
(2005.2.18)
by seigendo
| 2005-02-18 13:47
| 器つれづれ