モダーンな器 蔦井乃理子 |


蔦井さんが独立した年に、青玄洞も産声を上げた。
その年の初個展を拝見し、選んだ器がある。
それは、黒とグレーのつい、それぞれ幾何学形のサビ文様をあしらったマグと湯のみ。
26年経って今なを扱うロングセラーとなっている。まだ、器を見る目は未熟だったのかもしれないが、駆け出しの僕にはほんの少し自慢のタネになった。当然、道内作家の中では青玄洞の主力作家の一人となっている。
彼女の作風は、デザイン性を志向するクラフト作家として、都会的なおしゃれさを感じさせるモダーンなうつわだ。これまでに、いろいろデザインは変わってきているが、技法の基本にあるのがマットで落ち着いた色合いの「彩色」である。その微妙な色彩感覚で織り成す幾何学的文様こそ、作家としてのオリジナリティーを表現している。